後輩ちゃんの大きさ
息が詰まるなぁ。
少し疲れたとき僕はいつもどうしていたか考えると、ふといつも後輩ちゃんに助けられていたのだと思い返しました。
いつだったか大学オケの演奏会のリハーサル。
僕がスタミナ不足でたかだか演奏会のリハーサルで疲れてしまったときのことです。
椅子の上でボーッとしてると、後輩ちゃんがやってくる。
先輩良いご身分ですね
皮肉たっぷりに、私は今忙しいですよ先輩は現役引退して気楽なもんですねという状況提示と、それに加えて先輩疲れちゃったんですか?という気遣いの合わせ技である。
僕も単に疲れたと返すのでは芸がないので、すぐさま疲れてるのは分かってるから回復させてるんだよ、スタミナ不足なら回復力がありゃ問題なかろう?と意味を込めて
瞑想してんだよ
と苦し紛れに言葉を返すと、目を細めて手を合わさる瞑想のジェスチャーをとる。彼女なりの元気のない人への励ましだ。
はいはいナームー。
馬鹿らしくなってつい笑ってしまう。
後輩ちゃんは僕の笑顔を確認するともう用は済んだとばかりにうへへと笑って仕事に戻っていく。
うーん。
逆じゃないのか。普通は。
奇妙な関係だなと、改めて思う。
たぶん改めてそれを後輩ちゃんに指摘しようものなら、分かってるならやってくださいよと激を飛ばされるだけだ。
態度で示せば彼女には伝わる。
彼女が僕を面倒見なくて良いってことは、僕がそれを理解して、行動に移せてるということに他ならない。
安心させてやりたいなあなんて、いつの話になるのか。でも、次に会うときはそういう面倒かけたくないなと思う。それよりも先輩ぶって安心させてやりたい。
先輩、できないわりにはよくやってますね?と心意気くらいは認めてもらいたいもの。
こんな情けない先輩に涙ぐましい努力をさせる。
彼女の方がいつも、ずっと上手なのです。