優しいホモたち

この辺にぃ、急に虚しさを感じる人たち、来てるらしいっすよ!

目上の人とうまく付き合いたい!

学校の休憩室でタバコを吸っていたら、学院長、一番偉い人がやってきました。

怖い!

素直な感情です。イケイケバリバリ、コミュニケーションがモットー!そんな学院長先生です。

ああどうしよう。世間話のネタがないぞ。
そんなことより、この疲れはてた顔が滲み出てしまってるぞ。

考えてるうちに笑顔を作り会釈をする。
こ、こんばんわ!おーつかれさまですっ。

「お疲れさまでした。今日はもう終わりかい?」

変な挨拶の仕方しちまったぞ!
「は、はいぃ。今日はもう終わりなんですよぉ、えへへ」

僕はこの前まで大学生で、こう、朝早く起きて、出発!っていう生活がもう、ずいぶん久しぶりで、そうですね、高校以来ですね!久しぶりなんで、慣れるまでもう少しかかりそうですね~

「ははは。そうか。まあ、慣れるまでは、1ヶ月くらい、やってればすぐ慣れるだろう」

「え、へへへ、そうですね、僕なんて今実家から通ってるんですけどぉ…」

「ほー!実家から!ご実家はどこですか?」

「実家はいば、茨城ですっ。茨城の○○市のとなり…○○市ってところから来てます」

「そうかぁ!そこからだと遠いでしょ?常磐線?1時間くらいかな?」

「え、ええ、常磐線です。そうですね、やっぱり1時間くらいはかかっちゃいますね」
僕は実家からって話の続きが話したいよ、学院長。今の僕はまだ駅ネタあるあるとか、話広げられないよ、そんなパスにも答えられなくてすんません。いやほんとすんません。今の僕にとってはそりゃあキラーパスですよ、おじいちゃん。ほんとに甘いなあ僕ってやつは、ほんとにほんとに。

「いやー、遠いのは大丈夫なんですけどね、久しぶりのこの生活、すっかり逃げ癖がついちゃって、ははは。立ち向かわなきゃな!って思ってます」
胸を撫で下ろす動作を繰り返すジェスチャーという謎の動作をとる。たぶん、もう無理っす!降参っすの高度なサイン。伝わるかそんなもん!

「ははは!そうか、そうか、頑張ってくださいね、お疲れさま」

「はい!お疲れさまでした!さようなら~」

あははっ、ははっ、ふう。どっとつかれたよ…。
世間話のネタでも見つけておかないとなぁ…。
僕の意味不明なジェスチャーとか、僕なりのユニークな意思疏通の方法とかを笑ってくれて、しかも理解できる人は後にも先にも後輩ちゃんだけだろう。

こうして僕はまた立ち向かうことを見つけた。

僕なりの意思疏通という手段はそれはそれでユニークでいいから、なくす必要はない。そこに、目上の人と話しても大丈夫な、もうひとつくらいレパートリーを増やそう。

気づいたのだから、出来るはずだ。