優しいホモたち

この辺にぃ、急に虚しさを感じる人たち、来てるらしいっすよ!

夢の先へ

毎日同じ場所へ
毎日同じことを

死んだような顔をしてやる。

おかしい。おかしいぞ。
バイオリン…
お前さんを家で作っていたときはあんなに楽しかったのに、ひとたび学校に入ってその仕組みのなかで作業していると、ものすごく楽しくない!

心が弾まない!
どうしてだ。

僕の先輩が大学1年の僕にボソッと本音を漏らして語ったことがあります。

夢は、見ない方がいいですよ。

僕の先輩は、やりたくもないことを続けるのが嫌だ、意味を感じない。そうして会社をやめて、やりたいことをやる道、バイオリンの修理人という仕事を選んだのです。

でも当時の僕にはその本当の意味は分かりようがなかったですね。
やりたいことをやったとしても、結局はやりたくないことで会社勤めしてたときと変わらないぞ、そういうことだったのでしょう。

やりたいとかやりたくないじゃなくて
そもそもの労働環境自体の問題、もしくは、働く側の、僕や先輩の見方の問題なんじゃないかと。

だからやりたいことをしたって、やりたくないことを続けたって、気持ちとか感覚的には変わらない。

先輩が、やりたいことをやれば働くのもきっと楽しいぞ!と当時浮き足立っていた僕にその事を伝えるために、短く一言で、「夢は持たない方がいい」とズバリ、的確にアドバイスをしてくれたのでしょう。かつて夢を持っていた同じ人間として。

僕は、やりたいことをやれたら仕事って面白いんじゃない?と思ってたけど、そうじゃない。やりたいことでも、やりたくないことでも、面白くしようとしなきゃ、面白くはならない。

やりたいことをやってさえいれば面白いかってそうとは限らない。

面白くなるのを待ってたら、そのまま人生なんか面白くないままたぶん終わっちゃうんじゃないかなぁ。

例えば後輩ちゃんと一緒にいると楽しいのだって、別に楽しくなるのを待ってるんじゃなくて、楽しいことを見つけるからだ。

たとえ後輩ちゃんとでさえも、ただ一緒に居たところで、たぶんこの前みたいに来た来ないだのとつまらない応酬をしてしまうだけ。

バイオリンを以前、自分だけで作っていたときも、自分で探す試行錯誤がとても面白くて、それで出来上がったものがたとえ、おんぼろでお粗末な出来でも、よっしゃできた!次はここが汚いから直すぞ!と。すごく楽しかったものです。ちっとも悪いだなんて思わない。

その先に、お客さんに出せるくらいの、技術があるんじゃないの?
その過程を通るから、楽しかった!ってうきうきが消えないまま仕事ができるようになるんじゃないの?

今の環境は…
確かに先輩の言った通り、夢なんて持たない方がいいです。
仕事とは、始めからその結果を求められることだと、大人は教えています。過程の通り方を教えもせず…。
というか大人だって分からないんじゃないですかね。
どんな道をとおっていけば、その「結果」を出せる人間になれるのか。せっかく結果を出せるようになっても、先輩みたいに「夢なんか持たない方がいい」って生きるようになっちゃうなら、そんなの、おかしいじゃないか。

だから、ウキウキを大切にしなよと人は言います。
でも、そうは言いつつ、それを大切にして生きることが出来ない。そうでしょ?身の回りに、ウキウキを消さないまま、生きてる大人の人っている?

僕は…その“ウキウキ”を目印に師匠を選んできました。
甘いと人は言うかもしれません。

でも、その気持ちを大切に出来ない場所では、辛いだけですよ。先輩と同じ、夢を持っていたのに、そんなもの持ってない方がよかったと語るようになっちゃう。

だからせめて僕は社会に抵抗…してきた。
でも、わざわざ反逆しても仕方ない。僕は敵です!ってアピールしてどうする。

だから今は、今度はせめて
僕の心の中のウキウキを保ちたい。
あの、おんぼろバイオリンを作ったときの楽しさの延長線上に仕事を…
先輩が持とうとするのをやめてしまった夢を、僕は諦めたくはない。

確かにね
社会や組織や学校や…そういうしがらみのなかで、自分勝手に自分の楽しみを追求するのは“間違ってる”のかもしれません。

でもその先に、あんたがたの求める「結果」ってやつがあるんならどうよ?
楽しみや、ウキウキの先にも、努力や忍耐以上の結果があるなら?試してみなきゃわかんないでしょ。

それに、この楽しみに従ってると間違いとかあってるとかじゃなくてね。
ただ伸びていくことだけが、本当に気持ちがいいのさ。

そういう気持ちよさが、仕事とは無関係だと思いますかい。

こういう気持ちよさが、人の気持ちよさにつながり、結局はそのいい気分ってのが広がっていくことになるんじゃないのかな。

その逆をやってるとさ。頑張って頑張って、努力してんのに、楽になるどころか、すごく苦しくなるんじゃないの。今すごくそう思うよ。

それに、そんなの悲しいよ、ね。